函館公演 シゲさんレポート

2016年5月12日

北海道函館商業高等学校 芸術鑑賞会(函館市芸術ホール)

 

函館商業高校で公演をする前に、熊本に行こうと思いました。

5月5日、こどもの日の熊本日日新聞の一面は、上空から見た熊本市の青い屋根が延々と続いてる写真でした。5年前に初めて日和山から見た風景とは全く違っていたけれど、あの日に見た風景を思い出しました。それは、少し前まで当たり前にあった『いつもの生活』が突然奪われた風景でした。

高校の演劇(芸術)鑑賞での公演は初めてでした。これまでにも、この舞台を見てくれた高校生はたくさんいました。ただ、自分から劇場に足を運び、いろんな年代のお客さんと一緒にお芝居を観るのと、授業の一環として、同級生たちと並んでお芝居を観るのとは、雰囲気や意味合いが、かなり違うと思うのです。

5年前の東日本大震災の時、今の高校3年生は中学生でした。そして1年生は小学生でした。彼らにとっての東日本大震災が、どういう記憶として残っているのかが不安でした。

 

この舞台を続けて4年半になります。そんなに続けようとも続くとも思ってなかったのですが、続けるからには、その時にちゃんと伝わる舞台でありたいと思っています。

【イシノマキにいた時間】という舞台を見てもらい、その上で今の石巻を知ってもらい、これからの石巻を想像して欲しいという気持ちは変わらないのですが、今回のように、舞台の直前に熊本や大分で大きな震災があり、タイヘンな事になっている事が連日伝えられている時に、5年前の東北地方を襲った出来事を、今までと変わらず伝える事が正解なのか?伝えたいと思っている事が伝えられるのだろうか?という不安もありました。

あとは、石倉くんがセリフを間違えないだろうか?海鮮好きな田口くんが函館の朝市で食べ過ぎないだろうか?

北海道公演では、いつも富良野演劇工場のみなさんにスタッフワークをお願いしているが、僕たち以上にオッサン感が漂っていないだろうか?いや、完全にオッサン感が強いぞ・・・という不安など、不安満載の?公演でした。

今回の演劇(芸術)鑑賞のキッカケは、2012年に札幌で公演した舞台を観て下さった函館商業高校の先生が、この作品を生徒たちにも見てもらいたい。という思いで、校長先生を始めとする先生方、PTAのみなさんにも丁寧に説明をし、少しづつ進めて下さって実現しました。ただ、その先生が、公演直前に、別の高校に移動になって担当ではなくなってしまうというサプライズもあったりして、これまた不安な出来事でした。公演当日は、お昼に差し入れまでいただき、舞台も、もちろん見に来てくださいました。

高校生のみなさんに、この舞台がどんな風に伝わったかは分かりませんが、今すぐにではなくとも、いつか彼らのキッカケになってくれればいいなと思っています。それは、オッサン2人とポッチャリ1人の舞台の事を家族に話してくれる事かもしれないし、休みの日に観光や美味しい海の幸を食べに石巻に行ってくれる事かもしれません。もしかしたら、夏休みに熊本に足を運んでくれるキッカケになるかもしれません。もちろん目の前の大学受験や就職に取り組む事が、今は一番大切だと考えるキッカケになるかもしれません。

 

お芝居をやっておきながら、こんな風に言うのも変なのですが、僕の中では、この【イシノマキにいた時間】という作品は、まだ、純粋なお芝居としてではなく、5年が経った今も、石巻に流れている時間と同じ時間が、函館でも東京でも仙台にも流れているという事が伝わればいいなと思っています。

 

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