北九州公演 シゲさんレポート

2015年6月19日〜21日

僕が勝手に『枝光アイアンシアターのキセキ』と呼んでいる事がある。その『キセキ』は、実行委員のみなさん、特に、実行委員長をやると言ってくれた松田直子さん(なおちゃん)が起こした『奇跡』でもあり、公演までの『軌跡』でもある。

震災から4年が経ち、新潟公演、東京小平公演、大阪公演、東京紀伊國屋ホール公演と続いた。大阪公演直前の5月中旬に北九州公演のチケットが完売しそうなので追加公演をしたいという知らせが届いて驚いた。実は、一番最初に実行委員長から来たチケット発売初日(4月上旬)のチケット情報が、初日 9枚、2日目7枚、最終日9枚という、テレビドラマの視聴率で例えると打ち切りが検討されるぐらいの驚くべき数字で、これまでいろいろ公演させてもらってきた中でも、ダントツに「これはヤバイぞ…」と感じた公演だった。ただ、その時のなおちゃんが、僕たちや実行委員のみなさんに送っていたメッセージが

まだ日程悩んでる方も多いみたいですけど、いっぱい声かけしていきましょ〜!

公開日に問い合わせがあった方は、なんと、宮崎から‼来てくださるそうです‼(≧∇≦)♡

地元のお客様もきますけど、【イシノマキにいた時間】ファンの方、応援してくれてる方もお客様として来てくださるので、失礼のないようにお迎えしましょうね〜♡

 

顔文字もあったり、ハートマークが付いてたり、それはそれはとても脳天気な、いや、天真爛漫な?メッセージで、「この実行委員長、オモシロイぞ!」と、ものすごく笑ったのを覚えてる。この北九州公演は、紀伊國屋ホールでの公演を終えた直後に、なぜ僕たちが3年半【イシノマキにいた時間】という舞台を続けてこれたのかを思い出させてくれる公演だった。

2011年、初めて公演をした時からずっと、何を伝えるのが正解なのか分からず、なるべくたくさんの事を、その時感じている事を、伝えたいと思っていた。きっとその思いは、これからも変わらない。そんな当たり前だが忘れそうになり、忘れてはいけない事を思い出させてくれた。そんな北九州公演のキッカケは、よっさん(石倉良信)となおちゃんの繋がりだったので、詳しくは、よっさんにレポートしてもらおうと思う。

 北九州公演 よっさんレポート

こんにちわ!石倉良信です。

新潟、小平、大阪、紀伊國屋、そして、北九州公演と、2015年のスプリングツアー(と、勝手に僕だけが言っています)もやっと一段落しました。気が付けはもう梅雨入りし、もうすぐ夏です!初夏ですよ!一年の半分以上過ぎちゃったんですよ~。

いやぁ~、今回の北九州公演のレポは僕が、石倉が書かなければダメでしょ。いや、僕に書かせてください!だってこの北九州公演の実行委員長は17年来の僕の友人の松田直子ちゃんなんですもの!しかも彼女、演劇人でも演劇に携わったことも一切ない全くの演劇素人で。もう今回の公演ではじめてマチネ、ソワレやゲネプロという言葉を知ったくらいの、本当に公演を打つという方法を何ひとつ知らない人だったのです。

ちなみに僕と直ちゃんの共通点は「坂本龍馬が好き!」ただそれだけです。その龍馬繋がりの朋友、直ちゃんが去年の名古屋公演を観に来てくれてですね、その時に「北九州の人にも観てもらいたい!」と決意したそうです。

それから直ちゃんは、コツコツと地元の身近な人に声をかけ、思いを伝え、仲間を集めて、その仲間がまた仲間を呼んで、実行委員会が本当に立ち上がったのです。龍馬に云わせたらもうカンパニーですよ、カンパニー!

「海援隊」ならぬ、「直援隊」ですよ!正直、僕は、実現出来ないと思っていました。

だって実は、僕たちがいままでやって来ている地方公演のスタイルというのはですね、自分たちで「何処何処でやりたい!」って言って各地の劇場に問い言わせてやっているわけではなくて、作品を観てくれた人たちが、「これを地元のみんなにも、観て欲しい!」と言って地元の実行委員主導のもとに僕たちを呼んで貰う形なのです。

だから劇場探しからスケジュール調整、協賛や後援集め、集客まで全部実行委員の責任の元で動いている訳なので、一般の人が公演を打つなんて普通に考えたら出来ないのですよ。でも実現したんです。「直援隊」は実現させたんです。これ、凄いことです。あれですよ。別に友だち自慢をしている訳でもなんでも無くてですね、改めてやっぱり情熱や、マンパワーって凄いなぁって思ったのです。小さなバジェットでもコツコツやれば出来ないことはない。元々ボランティアって、そういう事なのかなって思わされましてね。第一の感動でした。

そうやって、ちょっと天然でおっちょこちょいの、委員長と云うよりイインチョーの方が似合う直ちゃんを助ける仲間たちの「直援隊」の船に乗って、僕たち【イシノマキにいた時間】チームは北九州に乗り込んだんです!

実行委員の皆さんはほとんど演劇を知らない人ばかり

会場前はお客さんの列が出来る程でした

そして着いてすぐ第二の感動ですよ。驚きました。枝光本町商店街アイアンシアター。小さな劇場とはいえ、本番2週間以上前に全ステージ完売、急きょ増やした追加公演も含めキャンセル待ち状態でした。確かに全国各地の皆さんがこの公演を宣伝してくれたお陰もあるのですが「直援隊」の仲間たちは僕たちが『芝居をするだけで良い』という一番いい環境を作って待っていてくれたのです。本当にビックリしました。

はじめましての実行委員の皆さんもみんな気持ちのいい人たちばかりで、個性的で。まあ、いままで行ってきた全国各地の実行委員の皆さん全員そうなんですけどね。

でも北九州に関しては「この皆さんがイインチョーをサポートしてくれていたんだ!」と思うだけで、僕の場合涙が溢れそうになるわけですよ。実行委員の皆さんも言っていました「あの頃、自分には何も出来なかったけど、いま、この芝居をここに呼ぶ手伝いは出きるんじゃないかと思ったので参加しました」と。

この枝光商店街ですね。元々は活気に満ちていたらしいのですが、北九州と行っても小倉から少し離れていて、だいぶ人が減って来ているそうで、でもまたこの枝光に人が集まるようにと劇場が出来たそうです。そしてそのアイアンシアターもですね、これまた良い空間でした。元銀行でそこを改装して作られた、ちょっと変わった劇場で一番奥に金庫があったりしてね。

実行委員さん手作りのカレーライス小屋主の鄭さんも熱い方で、直ちゃんにゲネプロという言葉だけではなく、公演をするシステムをわかりやすく教えてくれたお陰で北九州公演の実現に繋がったということです。凄いことに商店街の皆さんもこの劇場を応援してくれていてみんな優しいんですよ。まさに地域密着型の劇場でした。美味しいお店もいっぱいありましたしね。あ、美味しい食べ物の話は、田口くんがブログで書くと思います。

終演後、皆さん真剣にアンケートを書いてくださり、写真集もたくさんの方が購入してくださって完売しました

そして最終的に完売の中、実行委員とスタッフたちでなんとか席を増やし、当日券でのお客様にも観てもらえることも出来、結果、連日満員御礼でした。第三の感動でした。

この三年半、色々な所で上演させて頂きましたが、下北沢の小さな劇場から始まった作品が観に来てくれた皆さんに育ててもらい、紀伊國屋ホールの舞台に立たせて貰ったという感動とはまた別に、このアイアンシアターで演らせて貰えた事で改めて演劇の持つ、距離感の大切さも感じさせて貰いました。

アイアンシアターさん恒例の屋上でのお疲れ様会

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バラシも全部終わってのお疲れ様会でですね、直ちゃんに言ったんです。

「公演が実現しただけじゃなくて、完売して、追加公演が決まってそれも完売で、当日券も出るって、普通に考えたら凄いことだからね」と、
そしたら「私、正直、この状況が凄いかどうかが良くわからんけん」って!

確かに直ちゃん、演劇素人だったわ!!

「けど、みんなから『この芝居を北九州に呼んでくれて有難う!』って言われると、大変だったけどやって良かったなって思う」と直ちゃんは言ってました。

なんだか顔つきも、イインチョーから委員長になっていました。

最近、ニュースで悲しい事件や事故をたくさん耳にしますが、そんなのばかりではなく、「やっぱり、人間捨てたもんじゃないな」と感じます。

これからも「あの頃」あった悲しい出来事だけではなく、この作品を通して、そういう人との縁や繋がりの大切さも伝えて行けたらいいなと思いました。

やっぱりですね、龍馬好きと苔好きに悪いやつはいないですね!

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