富士宮公演 シゲさんレポート

2012年9月3日(月)

 

 

 

 

 

富士宮の『芸術空間あおき』は小さな空間だった。見に来てくれたみなさんの顔を見ながら、声を聞きながら、感じていたことを感じながら芝居をしていた。畳約4枚分の空間での芝居・・・もぉ、どこでも出来るなぁ〜とも思いながら。

「芸術空間あおき」ミニシアター
「芸術空間あおき」ミニシアター

ただ、ここには、自宅を改修してシアターを作った青木さんの情熱があり、平日の昼と夜に、合計50人ものお客さんに『是非、見て欲しい。とにかく見て欲しい。』というゴリ押しをして集められる、お客さんとの信頼関係があった。

富士宮で上演するキッカケは、制作スタッフ談で語られると思うが、本当に、チョットした勢いと縁だったような気がする。そして、そのチョットの勢いと縁が、これまでの僕にとって何かを始める原動力だった。勢いしかない時もあって、よく怒られてた気もするが・・・。

岳陽新聞記者、三浦さんの取材
岳陽新聞記者、三浦さんの取材

公演前に『芸術空間あおき』の下見に行った時、岳陽新聞という地元密着新聞の記者、三浦さんの取材を受けた。とても丁寧に、そして興味を持って取材してもらい、大きく記事に取り上げてもらった。その三浦さんも芝居を見に来てくれ、そして、一番笑い、一番泣いていた気がする。後日、この舞台を見て感じたコトを、また記事にしてくれた。自分たちのコトを取り上げてくれたからではなく、いや、それもチョットあるが、三浦さんが『今、伝えなければいけない』と感じてもらったコトを、今、伝えてくれたコトがうれしかった。

 富士宮で見終わった後、いろんな方と話をする機会があった。そして、あの頃、いろんな人が東北に物資を届けたり、ボランティアに行ったり、会社で支援活動をしていたり・・・ホントにたくさんの人が、被災地に想いを寄せていたのだと感じた。寄せていた。と過去形にしたが、もちろん、その活動を今も継続して続けられてる人や会社があるコトも感じた。それでも、少しづつ過去形になってしまってるのも、また事実である。だから1年半が経った今、役者は芝居で伝え、新聞記者は記事で伝え、そしてあなたは、あなたの方法で伝えて欲しいと思う。

 富士宮公演 制作レポート

これまで、何度となくシゲさんの” 勢い ” にやられてきたが、今回は、完全にこちらの勢いで決めてきた公演だった(笑)ひょんなきっかけで、この夏立ち寄った富士宮の素敵なギャラリー『芸術空間あおき』。緑豊かなお庭を眺めながら、1人店内のカフェで美味しいコーヒーを飲み、くつろいだ後、お会計へ。そこでオーナーご夫妻と立ち話をした事が全ての始まりだった。聞けば、ご主人の青木さんは文学座の裏方に始まり様々なジャンルの舞台監督を務めるなど、40年以上のキャリアを持つ大ベテランの舞台人。『芸術空間あおき』は舞台人オーナーの素敵空間だったのだ。

 

その時は、まさか数時間後に、富士宮やきそばのお店の大きな鉄板の前で「その舞台、うちでやりましょう!」と東京からやってきた珍客に言って頂けるとは、そして本当に実現するとは予想もしていなかった。舞台の趣旨を汲んで下さったベテランのジャッジは、早い!!

青木さんとの打合せ
青木さんとの打合せ

とはいえ、客席25名のミニシアターでの上演。役者が捌ける袖が、舞台の上手(右側)にしかなく、普段、映画上映を主としているシアターには照明、音響機材が整っている訳でもない…私の勢いで決めてきた公演。
しかしキャスト、スタッフ全員が「どうしたら、この空間で同じように伝えられるか!」それだけを考えて動いてくれた。まさに「やるか!やらないか!」そこはもう「やるよ!」と言ってくれる人達。

色々な状況下で本番を積み重ねてきた人達は、本当に心強い。演出家のシゲさんは、舞台サイズと導線に合わせた芝居に見事に作り変えた。そして今回はオーナーの青木さんに、広報活動はもとより、劇中で使うテーブルの作製や小道具の用意、上演中に完全暗転(場面の切り替えで真っ暗にすること)が出来るよう天窓を板で塞いで頂いたりと、丁寧な会場作りと舞台監督ならではの細かい心配りに、とても助けて頂いた。カフェでいつも美味しいコーヒーを淹れて下さった奥様の心遣いにも感謝。

富士宮も3.11の震災から4日後の15日に、震度6強の大きな地震にみまわれた場所であった。終演後、ご来場くださった方々からも決して他人事ではない震災への思いや、富士宮市や富士市で、東北の被災地への活動を続けている方々の熱い気持ちも伺うことができた。

サノユカシさんと石巻の子供達の絵
サノユカシさんと石巻の子供達の絵

小さな空間だったからこそ、台詞に乗せられた思いが、より深くお客さまの心に届いていた気がする。富士宮公演は「芝居」という言葉がぴったりな劇空間であった。

また、この公演と同時期に行われていたギャラリーでのイベントが、同じく石巻でアートを通じた支援活動を行っているサノユカシさんの企画展であったことも不思議な繋がりを感じる。富士山を間近に臨む『芸術空間あおき』で、小さくも大きい縁を結ばせて頂いた。シゲさん、勢いって大事ですね!!

富士宮公演2公演。入場者50人。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。